今回は「新型 メルセデスベンツ GLS350 d 4MATIC」を試乗レポートいたします。
GLSクラスは、2015年にGLクラスから名称変更されることで生まれた新しいモデルです。つまりフルモデルチェンジというよりは、マイナーチェンジに近い成り立ちの車といえます。
ベースとなったGLクラスは、2012年に登場し日本市場では2013年より販売されています。
外観
全長5130mmX全幅1934mmX全高1850mmのボディサイズを持ち、ホイールベースは3075mmとなります。
全体のデザインはGLEとほぼ共通ですが、GLSは3列目シートを装備するため、ホイールベースが大きく引き延ばされています。
フロントフェイスは、最近のメルセデスに共通のどっしりとしたデザインが与えられています。また、GLEと違いグリルのサイドバーに点々とドット状のスリットが切られています。
サイドビューは、5人乗りのGLEと違いホイールベースがぐっと引き伸ばされおり、その分スタイリングも伸びやかな印象です。
サイドウィンドウは、Cピラー(前から3本目の柱)を太くしてDピラー(一番後ろの柱)をブラックアウトしているGLEに対して、GLSではDピラーを太くすることでどっしりとした重厚感を演出しています。
リアビューは、Dピラーがブラックアウトされスポーティな印象のGLEに対して、GLSはメルセデスベンツらいいオーソドックスな印象を持っています。
内装
車内の質感は上質ですが、1000万円を超えるモデルだと考えると、少し没個性的で物足りません。
また、内装の基本的なデザインは、GLEと共通です。
前席シートは、たっぷりとしたサイズと厚みを持った、しっかりとした座り心地の快適なシートです。
着座位置も適度にアップライトで、広々とした気持ちの良い見晴らしです。
2列目シートも、前席に準ずる仕様で座り心地に違和感はありません。
3列目シートは、サイズが小さく居住スペースも狭めですが、足元空間はそれなりに確保されており、中距離(50km程度)の移動であれば問題ありません。
広大な荷室を備えており、家族でキャンプや旅行をしようというような場合でも、十分な荷物を積むことができます。
加えて3列目のシートには電動式の分割可倒機構が装備されており、荷室の容量を大幅に拡大することができます。
路面からボディが離れている事に加えて、しっかりした遮音材もたっぷりと施されているため、車内の静粛性はとても高いです。
エンジンとミッション
3000ccV型6気筒DOHCディーゼルターボに、9速ATが組み合わされます。
エンジンは、258ps/3400rpmの最高出力と、63.2kgf・m/1600-2400rpmの最大トルクを発揮します。
JC08モード燃費は、12.4km/lとなります。
2455kgの超重量級ボディながら、低速から63.2kgf・m/1600-2400rpmの圧倒的なトルクを発生しており、日常域では必要十分以上の動力性能です。
新たに組み合わされる9速ATの制御も素晴らしく、ウルトラスムーズな変速制御で、たっぷりとしたトルクを過不足なく使い切る事が可能です。
ドライブモードがコンフォートであれば、ディーゼルエンジンだとは思えない程、洗練されたエンジンサウンドを奏でます。
足回りとハンドリング
前後輪ともに、AIRマティック式サスペンションが装備されています。
ゆったりとしたスローなハンドリングですが、旋回特性は素直で違和感はありません。うねりのあるコーナーも路面に吸い付くようにクリアしていきます。
柔らかくゆったりとしていながらも、しっかりとした芯のある極上の乗り心地です。これでは柔らかすぎるという人には、「スポーツモード」にする事で若干引き締まったセッティングにする事が可能です。
たっぷりとしたストロークのエアサスにより、路面からの衝撃が車内に鋭く進入してくることはありません。重い車重と高剛性ボディ、加えてたっぷりとしたストロークのしなやかなサスにより、不快なピッチングや揺すられ感もほとんど感じられません。
評価のまとめ
ボディのサイズが大きく、そのために乗る人をかなり選ぶ車です。取回しのテクニックはもとより、このサイズの車を置けるだけの駐車スペースが必要になります。また、普段よく使っている道路の広さにもそれなりの幅が必要です。その分、車内の積載性はたっぷりとしており、同クラスではトップレベルの容量を誇ります。
メルセデスベンツのブランドとゆったりとした快適な乗り心地、大きなボディによる圧倒的な存在感と上品でオーソドックスな雰囲気を求めている人にぴったりな一台です。
また、ちょっと古い世代の、どっしりとしつつも鷹揚でゆったりとした乗り味のメルセデスベンツが好きだった人にもオススメ出来る車です。
価格
価格 | 10,700,000円(税込み)