トヨタ クラウン アスリート ハイブリッド(210系・14代目)【試乗評価】日本的癒しの最高峰 [DAA-AWS210-AEXXH]

トヨタクラウンハイブリッド前面画像

今回の【試乗評価】は「トヨタ クラウン アスリート S ハイブリッド(210系・14代目)」。
2012年から2018年まで販売されていた、Lクラスの4ドアセダン。長年に渡ってトヨタの歴史を受け継ぐ、フラッグシップモデルです。

クラウンは、かつて「いつかはクラウン」と言われるくらい、日本人なら誰もが憧れる超高級車でした。ご近所がクラウンを買ったと聞くとかなり羨ましかったもんです。

そんなクラウンも、グループ内にレクサスブランドが登場して、かつてのような輝かしさは失われましたが、今でも国内専用の高級車としてそれなりの人気があります。

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2018年1月25日

「初代トヨタ・クラン」が登場したのは1955年ですから、今から60年以上も前になります。当時としては珍しい純国産車として設計され、トヨタ初の乗用車専用プラットフォームが使われてました。「いつかはクラウン」というキャッチフレーズこそありませんでしたが、日本人なら誰もが憧れる高級車として高い人気があったんです。

他の国産メーカーが、海外の車をそのまま自社工場で生産していたのに対して、トヨタはアメリカ車を参考にして独自の設計を実施してます。当時の車は、そこらじゅうに未舗装の悪路が多かったんで、頑丈なトラックベースの車が主流でした。これに対して「初代トヨタ・クラウン」は、乗用車専用シャシーの耐久性を高めることで、乗り心地の良さと頑丈さを両立していたんです。

じっくりと読む時間の無い人は、文末の「【試乗評価】のまとめ」をどうぞ↓
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「トヨタ クラウン アスリート S ハイブリッド(210系・14代目)」の概要

そんな「トヨタ・クラウン」も、今回のモデルチェンジでなんと「14代目」となります。

これまでの地味~なイメージを刷新するためか、2013年に期間限定車としてピンクのイメージカラー「モモタロウ」を身にまとったド派手なクラウンが用意されてました。当時は、「こんなのクラウンじゃない」とか、「ブランド価値を下げる」なんて批判があったものの、とにかく目立つという意味では大成功だったと思います。振り返ってみると「ブランド価値を損なう」なんてことも無かったですし。

販売戦略自体も先代とは違って、ガソリン車中心から、ハイブリッドモデル中心のラインナップになってます。先代にもハイブリッドモデルはあったんですが、V6エンジンに電気モーターを組み合わせたちょっと高級感のあるパワーユニットでした。それに対して今回のは、2.5L直列4気筒エンジン+電気モーターという構成で、多少上質感では劣るものの、とにかく中心モデルとして買いやすくなってます(ベーシックグレードで410万円から)。

そのかいもあって、今回のクラウンはハイブリッドモデルが7割近くを占めてます。このあたりの戦略の緻密さ、読みの正確さは「流石トヨタ」って感じです。

グレード構成

グレード構成はフォーマルな「ロイヤル」と、スポーティな「アスリート」の2つ。それぞれにハイブリッド1種、ガソリン2種のパワートレーンが設定されます。

プラットフォームなど

プラットフォーム(車台)は、先代クラウンのものを流用しながらも、パワートレーンやトランスミッションは新設計です。先代も「先々代ゼロクラウ」ンのプラットフォームを使っていたので、都合、3世代に渡って同じプラットフォームを使っていることになります。

ライバルは

ライバルは、「日産・フーガ」や「ホンダ・レジェンド」などの国産Lクラス4ドアセダン。

マイナーチェンジ情報

2015年にマイナーチェンジ。内外装の小変更と共に、ボディ剛性の強化や足回りの再セッティングなどが行われてます。

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外観

ボディサイズ、全長4895mmX全幅1800mmX全高1450mm。ホイールベース、2850mm。

クラウンらしい押し出し感のあるスタイリングです。

「アスリート」には、標準色の他に「ジャパンカラー・セレクション・パッケージ」として、日本の伝統色をモチーフにした12のボディカラーが用意されます。

トヨタクラウンハイブリッド後部画像

フロント

重厚感あふれるフロントノーズに、「稲妻」をモチーフにしたフロントグリル。シャープなLEDヘッドライトを装備。クラウンのスポーティグレード「アスリート」にふさわしいアグレッシブなフロントフェイスです。

マイナーチェンジによって、フロントグリル(立体メッシュ)とフロントバンパー形状が変更されています。

サイド

ロングノーズ&ビッグキャビンの伸びやかなFRルック。極太のDピラー(一番後ろの柱)と立ち気味にレイアウトされたAピラー(一番前の柱)が、クラウンらしさを強調しています。

リア

強く傾斜したリアウィンドウに、ハイデッキ化されたヒップライン。威風堂々とした佇まいをみせる後ろ姿。

マイナーチェンジによってリアコンビランプ形状が変更され、よりスポーティな印象となりました。

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内装

しっとりとした質感のインパネに手触りの良いソフトパッド、メノウ加飾パネルを組み合わせた上質な室内。日本の伝統的な高級感を表現しつつ、先進的なイメージも併せ持ちます。レクサス上級車種群と比較すれば多少大味な印象ですが、トヨタ社内の上下関係を考えれば仕方ありません。

メーターナセルには、視認性の高い大型二眼メーター(オプティトロン)。中央には「TFTカラーマルチインフォメーションディスプレイ」がレイアウトされ、ハイブリッドシステムの状況やガソリン残量など運転に必要な情報を表示します。

センターコンソール最上段には、ナビゲーションを表示する「8型タッチディスプレイ」。その直下には、エアコンや車輌情報などを設定する「TFTカラータッチディスプレイ」を装備。上段の「8型タッチディスプレイ」とシームレスに繋がり「トヨタマルチオペレーションタッチ」を構成します。

シート

フロントシートは、コシのあるクッションに柔軟な表皮が組み合わされますが、やや腰回りの出っ張りが大きく腰ばかりに圧力が掛かる印象です。シートが新しくアタリが付いていないとか、体型との相性もありますので購入の際は自分で座って確かめてください。

リアシートは体型に沿って適度な窪みがあり、ホールド感は十分。座面の前後長、背もたれの高さともに適正で、快適に座ることができます。頭上と足元空間もたっぷりと確保され、大人二人で座っても窮屈感はありません。

荷室

荷室容量は幅、奥行きともに広大で、たっぷりとした容量を確保。家族4人であれば荷物のかさばるキャンプも可能です。床下には小さなサブトランクスペースも備わり、細々とした荷物をキレイに整理して収納できます。

静粛性

車内には遮音材や吸音材がたっぷりと装備され、4気筒エンジン搭載車とは思えない上質な静粛性を確保しています。

パワーユニットとトランスミッション

2493cc・直列4気筒DOHCエンジン+電気モーターに、CVT(無段変速機)が組み合わされます。
エンジン:最高出力178ps/6000rpm、最大トルク22.5kgf・m/4200-4800rpm。
電気モーター:最高出力143ps、最大トルク30.6kgf・m。
車両重量1660kg。JC08モード燃費、23.2km/l。

カムリ用の横置きエンジンをFR用に改良して搭載しています。多くのパーツが一新されており、まったく別のエンジンと言ってもいい位です。

パワーユニット

2.5Lツインカムエンジン+電気モーターによるハイブリッドシステムで後輪を駆動(FR)。先代の3.5Lエンジンから大幅にダウンサイジングされましたが、200kgの軽量化とあいまって必要十分以上のパワー感があります。

出足は電気モーターによってスムーズかつ力強く発進。そこからアクセルを踏み増していくとエンジンが始動しますが、注意していないと気づけないほど繋がりはスムーズです。

高速域ではさらにエンジン回転が低下して、抜群の静粛性を発揮します。急な坂道や合流ポイントでアクセルを踏み込むとエンジンノイズを高めますが、車内に侵入するノイズは許容範囲内です。電気モーターのアシストによって3Lエンジン並のトルクを発揮、急な坂道を物ともせずグイグイと駆け上がります。

さらにスポーティに走りたい時は「SPORT」モードを選択してください。ステアリングとアクセルのレスポンスが向上してさらに俊敏な走りを楽しめます。

トランスミッション

ハイブリッドシステム全体でCVTの働きを担う、電気式無段変速機を装備。

乗り心地とハンドリング

前輪にダブルウィッシュボーン式サスペンション、後輪にはマルチリンク式サスペンションを装備。

乗り心地

装着タイヤは、215/55R17。

適度に引き締まったしなやかな乗り味。目地段差では路面の衝撃を拾いやすいものの、衝撃の角が適度に丸く、不快な印象はありません。

ロイヤル系との違いは、タイヤからダンパー、スプリングと広範囲に及びます。もう少しソフトな乗り心地が好みだという人には、ロイヤル系の方がオススメです。

長いホイールベースとよく動く足回りによって、うねりのある路面でもフラットな姿勢を維持。高速域では抜群の直進安定性をみせます。

マイナーチェンジによってスポット溶接が増設され、ボディ剛性が大幅に向上しました。ドイツ車のようなカチッとした乗り味を強めています。

ハンドリング

ハンドリングはほどよく俊敏。FRらしい素直な動きで、ドライバーの意図したラインを正確に描きます。

リアの接地性が高く、コーナリング中も安定した姿勢を維持。姿勢を大きく乱すことはありません。粘り腰の動きでハンドリングとのバランスが素晴らしいです。

最小回転半径、5.2m。大柄なボディの割に結構小回りが効きます。

その他

先進安全技術は、ミリ波レーダーと単眼カメラを組み合わせた「Toyota Safety Sense P」を標準装備。

衝突の危険を検知して回避、被害慧眼をはかる「プリクラッシュ・セーフティシステム」や、車線からのはみ出しを警告する「レーンディパーチャーアラート(ステアリング制御機能付き)」、対向車への眩しさを低減する「アダプティブ・ハイビーム・アラート」、「オートマティック・ハイビーム」、「レーダー・クルーズ・コントロール(ブレーキ制御付き)」が装備されます。

【試乗評価】のまとめ

「トヨタ クラウン アスリート S ハイブリッド」は、日本を代表する高級Lクラス・サルーンのハイブリッドバージョン。

先代に搭載されていた3.5Lエンジンから、2.5Lエンジンへと大幅なダウンサイジングが行われていますが、その分、価格も安くなり燃費性能も向上しています。

パワー自体は先代よりも落ちますが、軽量化されたボディとあいまって動力性能に不足はありません。FRらしい素直なハンドリングと、適度に引き締まったしなやかな乗り味もこの車の大きな魅力です。

日本の風土に合った高級車を求めるのなら、これ以上の車は無いでしょう。ハイブリッドシステムの制御も素晴らしく、スムーズでクセの無い仕上がりです。

「高級ハイブリッドサルーンを買いたいが、ドイツ高級セダンでは気が引ける」とか、「日本の道路事情に最適化されたLクラスの4ドアセダンが欲しい」といった人には最適な車となります。

中古車市場では

2017年式「トヨタ クラウン アスリート S ハイブリッド」で420万円前後。2014年式なら250万〜350万円程度(2018年6月現在)。

新車価格

5,032,800円(消費税込み)

ABOUTこの記事をかいた人

クルマ好きの40代男性。現在病気のため療養中です。

ブログは暇つぶし&リハビリ。週2で短時間のアルバイトをしていますが、普通の人のように毎日フルタイムで働くことはできません。

ブログの内容はあくまで秋ろーの個人的見解です。実際に車や商品、サービスを購入する際は、自分で試乗や調査をして確かめることをオススメします。

記事更新の時間は、大体、午後11時から12時頃にかけてを予定しています。

修正ばっかりしてると新記事の投稿ができないんで、新記事3に対して修正1くらいの割合でやってます(2019年6月〜)